国税庁発表資料から見えてくること

国税庁発表記事

税務署の調査が入ったらいくら払っているのか

国税庁が毎年発表している税務調査の件数、税額について説明します。

国税庁は、毎年11月頃に、前年の調査事績を報道し、国税庁HPに掲示します。

2018年11月に報道したものを解説します。

①所得税

下記の表は、国税庁が、2018年11月にHPに掲載したものです。(表示の関係で簡略化しました。)

実地調査は、特別調査・一般調査・着眼調査の3つ。

実地によらず、来署依頼や文書や電話により、納税者に接触した調査を「簡易な接触」と書いてます。

平成29事務年度の意味は、2017(平成29)年7月から2018(平成30)年6月までの期間を意味します。

見ていただきたいのは、一般調査と特別調査の一件あたり追徴税額が加算税込みで合計で178万円だったということです。これは、税務署に払うだけの分です。

一件あたりの申告漏れ所得金額が1021万円とありますから、住民税はおよそ102万円でしょう。

所得税、住民税合計で280万円です。税務署が調査に入ったら、平均このくらいが追徴されているという実情を頭に入れてください。

②消費税

集計期間は同じです。

所得税と消費税は、同時調査が基本です。消費税単独の調査は一般調査・特別調査ではしません。消費税単独の場合は、机上処理簡易な接触になります。

こちらも、一件あたりの追徴税額を見てみると、加算税込みで88万円です。

③所得税、消費税、住民税、もろもろで合計でいくらになる

①で所得税が178万円と住民税がおよそ102万円と考えました。

②で消費税が88万円でした。

③178万+102万+88万=368万円(加算税込み)

あと払うものは

延滞税・事業税・国民健康保険税があります。

一件あたりの平均で、400万円超えることになります。

もちろん、申告是認追徴0円もあるけど、800万円もあるし、1億円追徴もあります。あくまでも、平均での数字です。税務署がきたら、必ずこんだけになると言うことでありません。ただ数百万円の追徴になるのは、けっして珍しいことではないと知っていただきたいと思います。

余談

集計期間には、わたしの事績もガッチリ入ってます。

2019年3月まで、税務調査の最前線におりました。

 

1 所得税

区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
対前年比% 対前年比% 対前年比% 対前年比% 対前年比%
調査等件数 49,012 101.5 21,226 109.4 70,238 103.9 576,906 95.3 647,144 96.2
49,735 23,218 72,953 549,684 622,637
申告漏れ等の

非違件数

42,653 101.9 15,796 106.8 58,449 103.2 342,018 94.6 400,467 95.9
43,464 16,874 60,338 323,570 383,908
申告漏れ

所得金額(億円)

4,499 112.9 860 94.7 5,359 110.0 3,525 89.2 8,884 101.7
5,080 814 5,894 3,143 9,038
追徴

税額

(億円)

本税 641 117.5 58 91.4 699 115.3 286 84.6 985 106.4
753 53 806 242 1,048
加算税 112 119.6 8 87.5 120 117.5 7 100.0 127 116.5
134 7 141 7 148
753 117.8 66 90.9 819 115.6 293 85.0 1,112 107.6
887 60 947 249 1,196
一件

当たり(万円)

申告漏れ

所得金額

918 111.2 405 86.7 763 105.9 61 93.4 137 105.8
1,021 351 808 57 145
追徴

税額

本税 131 115.3 27 85.2 99 112.1 5 80.0 15 113.3
151 23 111 4 17
加算税 23 117.4 4 75.0 17 111.8 0.1 100.0 2 100.0
27 3 19 0.1 2
154 115.6 31 83.9 117 111.1 5 100.0 17 111.8
178 26 130 5 19

(注)

  1.  平成29年7月から平成30年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2.  上段は、前事務年度の計数である(上段・下段どちらも、資産課税部門職員の行った調査等の計数を含む。)。
  3.  「簡易な接触」の件数には、添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4.  追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  5.  実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

2 消費税(個人事業者)

区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
対前年比% 対前年比% 対前年比% 対前年比% 対前年比%
調査等件数 28,211 100.7 8,428 112.8 36,639 103.5 50,140 99.0 86,779 100.9
28,415 9,504 37,919 49,631 87,550
申告漏れ等の非違件数 22,827 102.4 6,717 115.5 29,544 105.4 31,505 98.7 61,049 101.9
23,368 7,757 31,125 31,080 62,205
追徴税額(億円) 本税 185 113.0 21 85.7 206 110.2 53 88.7 259 105.8
209 18 227 47 274
加算税 36 116.7 3 133.3 39 117.9 3 66.7 42 116.7
42 4 46 2 49
221 113.1 24 91.7 245 111.4 56 89.3 301 107.0
250 22 273 50 322
一件当たり(万円) 追徴税額 本税 66 110.6 25 76.0 56 107.1 11 90.9 30 103.3
73 19 60 10 31
加算税 13 115.4 4 100.0 11 109.1 0.6 83.3 5 120.0
15 4 12 0.5 6
78 112.8 29 79.3 67 107.5 11 90.9 35 105.7
88 23 72 10 37

(注)

  1.  平成29年7月から平成30年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2.  消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。
  3.  上段は、前事務年度の計数である。